呼び名:しょくしゅりょうほう

考案実践者:福増廣幸(一切照)元心臓血管外科医(故人)

ここでいう触手療法は、故・福増廣幸医学博士が人工心臓の世界的権威となって以降、さらに研究を進め、実践を通して得られた結論を療法にまで高めたものであり、同氏の中ではそれまでの研究をさらに発展させたものとなっている。

特筆すべき点は多々あるが、慢性筋肉(系)疲労という、現代医学がいまだに全く認識していないが、ほぼすべての人体に見られる疾病の真の原因である現象をとらえ、その影響を受けた人がどうなるか、また慢性筋肉疲労を改善すればどうなるかを8年かけて、少なくとも24000人もの臨床結果で確認したことは重要だと思われる。

同氏は骨格筋の理想の状態を確認しており、骨格筋系組織のもつ自己弛緩反応を巧みに誘発し、慢性筋肉(系)疲労に陥った筋肉を筋肉細胞内の老廃物の排出なしに、排出後の状態にするか近づけるための手技療法として触手療法を考案・実践した。

全身の骨格筋は運動器だけでなく、第二の心臓とも言うべき循環器としての極めて重要な役割を持っており、その機能を著しく減退する慢性筋肉(系)疲労は人間の健康に極めて甚大な影響を持っている。

施術で弛緩を誘発できた程度によっては従来では起こりえないようなことも起こすことができた(特に福増博士)。

「人間の持っている自然治癒力は本来、医師が想定している者よりもはるかに強い」というのが福増博士の結論だった。

妨げているのが慢性筋肉(系)疲労であることは言うまでもない。

同氏は「慢性筋肉疲労」に関する二冊の著書を残しているが書名に「奇跡の触手療法」「驚異の触手療法」と入っているのはけっして大げさではなかった。

また「ゆほびか」という健康月刊誌1998年新年号巻末に自己弛緩誘発法として動作を残しているが、その動作の意図を充分に理解して動作に習熟すると実際に自己弛緩が得られる。

触手療法そのものも理解が容易ではないため、動作ともども普及しているとはいいがたいのが現状である。

これを業として行うにはあん摩指圧マッサージ師としての国家資格が必須だが、福増博士は免許など無関係な家庭で皆が互いに施術し合うような形で普及することを願っていた。

押し寄せる患者を拒み切れず過労を招いたのだが、高い施術効果があだとなってしまった。

8年間かけて臨床結果を積み上げており、それを2年かけてまとめ、医学界に発表しようとしていた矢先の逝去だけに惜しまれてならない。

なお、福増博士は圧迫やもむという行為自体に直接効果があるとしないやり方であるという意味を込めて「触手療法」と命名したが、先行する一般名称に近い「触手療法」があることを知らなかったことをことわっておく。